気管支炎
About
            気管支炎は、気管から肺へと続く「気管支」に炎症が起き、咳や痰(たん)、発熱、息苦しさなどの症状が出る状態です。かぜ(上気道炎)が長引いて下気道に炎症が及ぶケースが多く、原因や経過によって「急性」と「慢性」に分けられます。
主にウイルスが原因で、かぜの数日後から強い咳が続くのが特徴です。発熱やのどの痛みから始まり、乾いた咳→痰が絡む咳へと変化することがあります。多くは自然に回復しますが、高熱が続く・血痰が出る・息苦しいといった場合は早めに当院を受診してください。
咳や痰が少なくとも3か月以上、2年連続で続く状態を指すことが多く、喫煙や大気汚染、職業性の粉じんなどが関わります。増悪(悪化)を繰り返すと生活の質が下がるため、専門的な評価と長期的な管理が大切です。
Symptoms
            ※強い息切れ、胸痛、意識がもうろうとする、血痰が続く場合は重い病気が隠れていることもあるため、
            早めに当院を受診してください。
        
Estimated consultation
呼吸が苦しく会話が続かない、あるいはパルスオキシメーターでSpO₂が低いと言われた場合は、直ちに受診してください。血痰や黒っぽい痰が出るときも重い病気が隠れている可能性があり、緊急評価が必要です。さらに、ぐったりしている・意識がもうろうとしている・高熱が持続して水分も摂れないといった状態は脱水や全身状態の悪化が疑われるため、ためらわず受診(必要に応じて救急要請)してください。
高齢の方、妊娠中、基礎疾患(心疾患・肺疾患・糖尿病など)がある方で、発熱や息切れ、強い咳がある場合は、当日中の受診をおすすめします。小児で喘鳴(ゼーゼー)が強い、眠れないほど咳が続く場合も、早めの診察で重症化を防げます。発症後に症状が急速に悪化していると感じるときも、同日中の受診が安全です。
咳が2週間以上続く、夜間に悪化して睡眠に支障がある場合は、数日以内の受診をおすすめします。また、痰の色が濃い状態が続く、胸の違和感が長引くときも、肺炎など他の病気との見分けが必要です。市販薬やセルフケアで改善がみられない場合は、無理をせず当院での診察・検査をご利用ください。状況に応じて必要な検査を行い、原因を明確にしたうえで最適な治療をご提案します。
Cause
        急性気管支炎の多くはウイルス(かぜのウイルス)が原因です。抗菌薬(抗生物質)はウイルスには効きません。症状を和らげながら自然回復を待つ治療が基本です。
たばこの煙、PM2.5などの大気汚染、粉じん・化学物質への職業曝露、冷気や乾燥した空気は、気道を刺激して炎症を長引かせます。禁煙や室内環境の調整が重要です。
Inspection
かぜのウイルスやインフルエンザ、新型コロナなどの同時感染が疑われる場合に行います。鼻やのどを綿棒でぬぐい、約15〜30分で結果がわかります。原因の見極めや、登校・出勤の判断に役立ちます。
肺炎の有無や広がりを確認するための画像検査です。撮影は数分で終了し、その場で結果をご説明します。放射線量は少量ですが、妊娠中の方は実施の可否を個別にご相談のうえ決定します。
炎症の程度(CRP など)や白血球数、脱水の有無を確認します。ウイルス性か細菌性かの目安になり、抗菌薬が必要かどうかの判断材料になります。
咳や息切れが強い、喘息やCOPDの合併が疑われる場合に実施します。大きく息を吸って勢いよく吐き出すスパイロメトリーや、気道の炎症の強さをみる呼気NO(一酸化窒素)を行います。所要は10〜20分ほどで、苦痛の少ない検査です。
Treatment
                当院では、症状の強さや原因、基礎疾患の有無を踏まえて、患者さまごとに最適な治療を組み立てます。
                無理のない範囲で症状を和らげ、からだ本来の回復を助けることを基本に、必要に応じて検査結果を反映しながら治療内容を調整します。
            
夜間の強い咳で眠れない、日中の活動に支障が出ている場合には鎮咳薬で咳を抑えます。痰がからんで苦しいときは、去痰薬で痰を出しやすくします。息苦しさやゼーゼーした呼吸がある場合は、気管支拡張薬や吸入ステロイドによる吸入療法で呼吸を楽にします。発熱やのどの痛みがつらい際には、解熱鎮痛薬で負担を軽減します。なお、急性気管支炎の多くはウイルスが原因のため、抗菌薬(抗生物質)は原則として不要です。高熱が続く、膿のような痰が増える、肺炎が疑われるなど細菌感染が考えられる場合に限り、医師が必要性を判断して処方します。
治療効果を高め、回復を早めるために日常の過ごし方も大切です。まずは安静と十分な睡眠を確保し、体力の回復を促しましょう。水分補給と室内の加湿は痰を出しやすくし、咳の刺激を減らします。禁煙と受動喫煙の回避は再発予防に最も効果的です。室内は室温20〜22℃前後・湿度40〜60%を目安に保ち、こまめな換気を行ってください。外出時や咳が出る場面ではマスクの着用と咳エチケットを心がけることで、のどの乾燥を防ぎ、周囲への飛沫拡散も抑えられます。
Self care
洗い・うがいと適度な運動で抵抗力を保ち、十分な睡眠とバランスのよい食事で体調を整えましょう。禁煙・受動喫煙の回避に加え、室内は換気と加湿を行い気道への刺激を減らします。花粉や粉じんが多い日は外出時にマスクを活用してください。持病のある方は、早めの受診と定期的な管理で重症化を防ぎましょう。
FAQ
発熱が下がり、強い咳やだるさが軽くなっていれば復帰の目安です。咳止めは夜間に眠れない・仕事や学業に支障がある期間のみ使用し、改善したら中止を検討します。長期的な連用は自己判断で続けず、当院でご相談ください。
痰が透明〜白で量が少なく、体調が改善しているなら経過観察でもよい場合があります。黄緑色で量が増える、高熱が続く、血が混じるといった場合は早めの受診をお願いします。
夜間は気道が冷え・乾燥しやすく、横になると痰が喉にたまりやすいため咳が出やすくなります。就寝前の加湿・温かい飲み物・枕をやや高くする・就寝1〜2時間前の入浴などが有効です。苦しい場合は無理をせず当院にご相談ください。