耳の平衡感覚の乱れで起こります。
吐き気・嘔吐
        吐き気は誰にでも起こる不快な症状です。原因は一時的なものから、命に関わる重大な病気のサインまでさまざまです。
        例えば、前日の食べ過ぎや飲み過ぎで気分が悪くなることもあれば、感染症や消化器の病気、あるいは脳や心臓の病気が隠れていることもあります。
        このように吐き気は軽く見てもいい場合と早急な受診が必要な場合があります。
        この記事では、吐き気の原因や受診の目安、治療方法について、わかりやすく解説します。
    
            吐き気は、脳の「嘔吐中枢」という部分が刺激されることで起こります。刺激の原因は大きく分けて次の3つです。
胃や腸などの消化管に異常があると、炎症や内容物の停滞が起こり、脳に消化管を休める(胃を空にする)よう信号が送られます。
脳や耳、心臓などの異常が間接的に嘔吐中枢を刺激します。ホルモンや塩分バランスの乱れでも起こります。
乗り物酔い、ストレス、薬の副作用などでも嘔吐中枢が刺激されます。
それぞれ具体的に見ていきましょう。
    消化器の病気は、吐き気の原因として最も多くみられます。
胃腸に異常がなくても、他臓器の病気が原因で吐き気が出ることがあります。
片頭痛では強い頭痛とともに吐き気が起こります。脳出血・脳腫瘍・髄膜炎などでは頭痛、意識障害、けいれんなどに吐き気を伴うことがあります。小脳の脳梗塞でもめまい・吐き気が出ることがあります。
胸痛や呼吸困難と同時に吐き気が出ることがあります。
めまいに伴い、強い吐き気や嘔吐が出ます。
体内の塩分やホルモンのバランスが崩れることで吐き気が出ることがあります。症状だけでは判断が難しく、採血が必要になります。
                    耳の平衡感覚の乱れで起こります。
                    ホルモン変化で、特に朝方に吐き気を感じやすくなります。

抗がん剤、抗生物質、鎮痛薬などで吐き気が出ることがあります。

自律神経が乱れ、一時的な吐き気が生じます。

高温・高湿度の環境で作業していると頭痛や吐き気が出ることがあります。
以下のような症状がある場合は、命に関わる病気の可能性があるため、迷わず救急外来を受診してください。
まずは内科(消化器内科)が基本です。
                            めまいや耳の症状が強い場合は耳鼻咽喉科、女性で妊娠の可能性がある場合は産婦人科へ受診いただいてもよいです。
        治療は原因によって大きく異なりますが、緊急度の高い病気以外では制吐薬(吐き気止め)を使うことが一般的です。
基本的には原因となった菌やウイルスが出て行くまで待つしかありません。脱水予防のため水分補給を行い、必要に応じて整腸剤や制吐薬を使用します。
重症度によっては胃カメラで病気を確認します。その後胃酸を抑える薬(プロトンポンプ阻害薬、ヒスタミン2受容体阻害薬)を使用します。
まずは頭痛に対して鎮痛薬(NSAIDsやトリプタン系)を使います。吐き気が抑えられない場合は、制吐薬も使用します。
めまい止めや制吐薬、リハビリを行います。
水分がとれず脱水症となっている時は点滴などが行われます。状況に応じて制吐薬が処方されます。
いずれの場合も、自己判断で市販薬を長期使用せず、原因を特定して適切に治療することが大切です。
もちろん可能です。原因がわからない吐き気は、まず医療機関で検査を受けましょう。
無理に食べることや、自己判断で強い薬を使うことは避けてください。特に救急受診したほうがよい症状があるときは、自己判断で様子見をしないことが大事です。
水分を取れない場合は、舐める程度の量で頻回に摂り、安静にしてください。食事は消化の良いおかゆやスープから始めましょう。
軽い症状でも、2~3日以上改善しない場合や悪化傾向がある場合は早めに受診してください。
            吐き気はありふれた症状ですが、背景には重大な病気が隠れていることがあります。
            「いつものこと」と軽く考えず、症状の経過や一緒に出ている症状を観察し、必要なときは早めに医療機関を受診しましょう。
            当院では、吐き気の原因をしっかりと調べ、適切な治療をご提案します。気になる症状があれば、どうぞお気軽にご相談ください。